■■ JH2A NEWS PICK-UP Vol.11 ■■ 2023/1/16

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① 【政策/国内】西村経産相 水素生産本格化へサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相と会談

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経済産業省西村経産相はサウジアラビアのリヤドでアブドルアジズ・エネルギー相と会談をした。両国は脱炭素社会の実現に向け、水素やアンモニアに関する共同事業を進めることで一致した。また、水素などの生産・輸送技術での協力や、二酸化炭素(CO2)の回収技術に関する覚書を交わした。サウジアラビアは原油とともに天然ガスを産出し、回収したCO2を地下に貯留しやすく、ブルー水素を生産しやすいとみられており、グリーン水素でも、世界で最も低コストで生産できる国の一つとされる。国営石油会社サウジアラムコは、天然ガス由来のアンモニアについて、30年までに年間最大1100万トンの生産を目指している。(12月25日 一般報道より)

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② 【ブルー水素・アンモニア/国内】日揮HD 新潟県でブルー水素・アンモニア製造実証試験の地上設備を受注

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日揮は、INPEXが新潟県で実施する「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」に係る地上設備の建設工事を受注。本実証試験では、INPEX所有の東柏崎ガス田に施設を建設し、同社が県内で生産する天然ガスから年間700トンの水素を製造し、製造した水素の一部をアンモニア製造に、残りを水素発電に使用する予定。また、水素・アンモニア製造時に発生するCO2は、ガス生産を終了した同地区の貯留層へ圧入する。日揮は、本実証設備の内、アンモニア製造設備以外の天然ガス前処理設備、水素製造設備、CO2分離回収・圧入設備、アンモニア貯蔵・出荷設備、発電設備、ユーティリティー設備等を担当する。(1月10日 プレスリリースより)

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③ 【ブルーアンモニア/国内】つばめBHB 新潟県でのブルー水素・アンモニア製造・利用実証にアンモニア合成設備を導入

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つばめBHBは、INPEXが新潟県柏崎市で行うブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験向けに導入されるアンモニア合成設備を第一実業より受注した。当社初の商用機となる小型アンモニア合成設備。本実証試験では年間500トンのアンモニア生産を計画しており、2022年度下期から詳細設計・機器調達を開始し、2025年度中にアンモニア生産を開始する予定。当社はエレクトライド系触媒を用いた小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化を目指しており、当社の小型アンモニア合成設備は、本実証試験に導入される年産500トンのモデルの他に、同3,000トン、同5,000トンのモデルを展開している。(1月10日 プレスリリースより)

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④ 【アンモニアFSRB/国内】 世界初浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージ基本設計承認を取得

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株式会社IHI、日本郵船株式会社、日本シップヤード株式会社の3社は浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージについて、一般財団法人日本海事協会から基本設計承認を取得した。アンモニアを既存の火力発電所で使用するに際し、新たな陸上設備(貯蔵タンク、再ガス化設備、等)の用地確保の問題や、その初期投資額の大きさといった課題がある中、当設備は産地から液体として輸送されたアンモニアを洋上で受け入れて貯蔵し、需要に応じてアンモニアを温めて再ガス化し陸上のパイプラインへ送出できる。陸上にアンモニア貯留基地を建設するのと比べ、低コストかつ短期間に導入が可能と期待される。(1月5日 プレスリリース)

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⑤ 【メタネーション/国内】 福島県相馬市とIHI メタネーション設備の完成 合成メタンによるコミュニティバス走行

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福島県相馬市と株式会社IHIが連携をし、再エネ由来水素を使って製造した合成メタン燃料「グリーンメタン」を使い、運営する施設(そうまIHI グリーンエネルギーセンター)で燃料を生産し、この燃料を使ったコミュニティバスを市内で走らせる計画。メタンを供給するディスペンサーは東京ガス株式会社が天然ガスステーションで使用していた機器を移管した。グリーンメタンは、センター内の太陽光発電で生み出した電力で水素を作り、CO2を反応させて製造する仕組みであり、地産地消として、市内の高齢者が無料で利用できる「おでかけミニバス」を対象とし、2月に運行予定。(1月11日一般報道)

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⑥ 【FCV/国内】福岡県とCJPT FCモビリティ普及に向けた取り組みに関する連携協定を締結 

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福岡県とCommercial Japan Partnership Technologiesは、カーボンニュートラル実現に向けた水素社会構築を進めるべく、物流事業や公共交通機関、公用車でのFCV導入拡大などに共同で取り組む。具体的には、FC小型トラックの物流事業者への導入を皮切りにさらなるFCVの普及に向け取り組んでいく。食料品や日用品等を配送するFC小型トラックの導入拡大に加え、ごみ収集車や救急車等の公用業務車両のFC化、地域交通でのFC大型バスや、人口の少ない地域にも活用できるFC小型バスの導入、幹線道路を走る長距離トラックといったFC大型モビリティを見据えたインフラ整備等、中長期的な活用拡大に向けた企画・検討を行っていく。(12月26日 プレスリリースより)

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⑦ 【政策/海外】インド政府 「国家グリーン水素目標」を承認 

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インド政府は、グリーン水素普及を目指す「国家グリーン水素目標」を閣議承認した。1,974億ルピー(約3,148億円)を投じて、2030年までにインドをグリーン水素の生産・利用・輸出のハブにすることを企図。金額の内訳は、1,749億ルピーを電解装置や水素の国内生産に奨励金を付与する制度「SIGHT」に充当。146億6,000万ルピーを試験事業、40億ルピーをR&Dにする。グリーン水素目標の実行により30年までに、グリーン水素の年産能力500万トン、再エネ発電容量が125GWに増加、8兆ルピー超の投資が期待される、GHG削減量が年間5,000万トンに達する、などの効果を見込んでいる。(1月4日 一般報道より

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⑧ 【グリーン・ブルー水素/海外】RWEとエクイノール 欧州での低炭素水素の生産増強で提携 

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電力大手RWE(ドイツ)とエネルギー大手エクイノール(ノルウェー)は、欧州での低炭素水素の生産増強や安定供給に向け、大規模PJで協力することに合意。エクイノールが建設を計画しているノルウェーでの天然ガスからの水素製造施設でブルー水素を生成し、パイプラインで輸送のうえRWEが利用する。また、両社は洋上風力発電等の再エネ由来のグリーン水素の製造PJでも協力する。加えて、両社はドイツで水素混焼・専焼が可能なガス火力発電所新設の共同投資を計画している。(1月5日 プレスリリースより)

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⑨ 【グリーン水素/海外】Nel スタットクラフト、ノルウェーのグリーン水素バリューチェーンに道筋をつける

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ネル(Nel)社と欧州最大の再生可能エネルギー供給会社であるスタットクラフト(Statkraft)社は6日、新たに40MWの電解槽設備の納入契約を締結し、ノルウェーのグリーン水素製造のバリューチェーンの構築に向け協力することになった。この電解槽は、ヘロイヤにあるネル社の製造工場で製造され、スタットクラフトが進める多くの水素プロジェクトにおいて、再生可能エネルギーによる水素製造に使用される予定。スタットクラフトは、2030年までに年間4GWの新規発電量の開発を加速させ、2GWの再生可能水素製造量を追加する目標。(1月6日 プレスリリースより)

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⑩ 【グリーン水素/海外】Hystar AS社 電解槽の生産ラインスケールアップなどのため2,600万米ドルを調達

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ノルウェーのHystar AS社は11日、2025年までに電解槽のGW容量の自動生産ラインを備えた商業運転へ迅速なスケールアップを図るため、2,600万米ドルを調達することを発表した。今回の資金は、オスロに本社を置くHystar社の成長、新規市場への拡大、および大規模プロジェクト(100MW以上)への対応に充当される。この資金調達ラウンドは、ロンドンを拠点とするファンドであるAPベンチャーズと三菱商事が共同で主導し、既存の投資家であるSINTEF VenturesとFirdaに加えて、Finindus、日鐵商事などがこのラウンドに参加した。(1月11日 プレスリリースより)

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⑪ 【アンモニア基地/海外】Yara ドイツに最大300万トンのアンモニアターミナルの改造を計画 

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ヤーラ(Yara)・インターナショナルは5日、ドイツにあるアンモニアターミナルの改造を計画し、最大300万トンのアンモニアの取り扱いを可能にすると発表した。これは、約53万トンの水素に相当し、ドイツの水素経済を加速させることになる。ヤーラ社は世界最大のアンモニア販売会社であり、世界最大の生産・輸送インフラを有している。欧州の水素消費量の約7%を占めるなど、すでに水素のメジャープレイヤーでもある。ヤーラ社は、ブルンスビュッテルとロストックの2カ所でアンモニア用の深海ターミナルを運営しているが、ロストックでは年間600ktのアンモニアを輸入している。(1月5日 プレスリリースより)

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⑫ 【水素パイプライン/海外】ティッセンガス社 水素輸送用にRWEの天然ガスパイプラインを取得 

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ティッセンガス社は10日、RWE Generation SE社から長さ約12キロメートルの天然ガスパイプラインを取得したと発表した。このパイプラインは、オランダのVlieghuis(ドレンテ州)とHoogstede(ベントハイム市)のKalleの間を走っている。初の国境を越えた水素輸送インフラの一部であり、ノルトライン・ヴェストファーレン州の産業立地とオランダとの接続を可能にする。「欧州共通利益の重要プロジェクト」(IPCEI)として推進されるプロジェクトで、早ければ2023年半ばに天然ガスから水素への転換準備作業を開始する。このプロジェクトは水素イニシアティブ「GET H2」の枠組みの中で水素輸入拠点Vlieghuisへの接続を実現する計画に基づいている。(1月10日 プレスリリースより)

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⑬ 【FC列車/海外】 中国 四川省成都市新津区 市内を走るFC列車が登場  

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中車長客と成都軌道集団が共同開発したFC市内列車が四川省成都市新津区で運行を開始した。同列車は4両編成で、最高速度は160km/hとし、内蔵されているシステムは、約600キロメートルの航続距離を持つ。1日500キロメートルを往復走行する場合、1年で二酸化炭素(CO2)排出量を1万キログラム以上削減できるとされる。また、インフラ整備として架線網による運行条件の束縛がないため、列車は既存の非電化線路区間で広く応用でき、インフラ整備と維持にかかる巨額コストを回避できるとされている。(1月1日 一般報道)

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⑭ 【水素自転車/海外】 フランス Pragma Industries 水素自転車の第二世代「Alpha Neo」を発表 

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フランスのPragma Industriesは、水素自転車の第一世代モデル「Alpha」を地方自治体などに納入した実績を持つメーカー。このモデルは水素を圧縮して収納するタンクを装備した燃料電池自転車で、水素を使って発電した電力でモーターを回して走行をアシストするという仕組みを持つ。同自転車は、水素の充填に必要な時間は約2分とバッテリーの充電よりも短く、またフル充填すると150kmのペダルアシストが可能になるとされている。欧州市場向けに2023年初夏に開始する予定。(1月9日 一般報道)

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⑮ 【特許/海外】IEA 欧州特許庁との共同研究により、水素関連特許は電気分解などのクリーン技術への移行を示唆

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国際エネルギー機関(IEA)は10日、欧州特許庁(EPO)と実施した特許に関する共同研究で、水素技術開発が電気分解などの低排出ガスソリューションにシフトしていることを示した。本調査では、2011年から2020年までの水素技術の主要トレンドを、国際特許ファミリー(IPF)の数で測定、紹介している。報告書によると、水素に関する特許はこの期間に出願された全IPFのうち、EUと日本がそれぞれ28%と24%を占め、過去10年間に大きな伸びを示していることを示した。また、期間中、水素製造技術が最も多くの水素特許を占め、低排出ガス技術はバリューチェーンの全てのセグメントで、既存技術の2倍以上の国際特許を生み出している。(1月10日 プレスリリースより)

IEAウェブサイト https://www.iea.org/news/hydrogen-patents-indicate-shift-towards-clean-technologies-such-as-electrolysis-according-to-new-joint-study-by-iea-and-epo

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【用語解説】

国際パテント(特許)ファミリー・・・1つの発明を基に、世界の2カ所以上で特許出願している出願のまとまりのこと。