■■ JH2A NEWS PICK-UP Vol.10 ■■ 2022/12/26

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① 【政策/国内】政府 J―クレジットの創出ルールに水素・アンモニアの利用を追加 

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経済産業省と環境省、農林水産省、林野庁が9日に開いたJ―クレジット制度運営委員会において、J―クレジットの創出ルールに水素・アンモニアの利用を追加することが提示・了承された。再エネで製造した水素・アンモニアの利用には再エネ設備の導入に由来する「J―クレジット(再エネ)」、副生水素や非再エネで製造した水素・アンモニアには省エネ設備導入に由来する「J―クレジット(省エネ)」を付与する。付与の条件は、燃料の純度や混焼率の明示。FCVについては、従来の自動車と排出量を比較するため、車に充填する水素の排出係数の特定を求める。(12月12日 一般報道より)

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② 【政策/国内】 経産省 第7回省エネルギー・新エネルギー分科会 水素政策小委員会を開催 

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経済産業省は、第7回水素政策小委員会で水素・アンモニア普及に向けた支援策をまとめた。大規模サプライチェーン構築支援として、供給企業を原則15年間と長期間における既存化石燃料(LNG)の販売価格の値差を補填する方針。また、拠点整備支援として、2030年までに貯蔵タンク等のインフラも今後10年で8カ所程度整備し、供給体制を構築する。これらの支援に纏わる財源はGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債の発行によって調達する考えとし、今後10年間の政府支援額として、水素・アンモニア等の非化石エネルギーに対して約6~8兆円の政府支援額が必要と見込む。(12月13日 経産省HP)

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③ 【政策/国内】 経産省 若手有識者会合が水素社会実現へ提言 

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経済産業省は19日、第1回「2050年カーボンニュートラルに向けた若手有識者研究会」を開き、水素関連プロジェクトの今後の取組みに関する提言をまとめた。提言では、水素サプライチェーン構築に向けた支援の在り方に関しては、水素のアンカーデマンドの創生が必要となるため、基盤需要とみなされる発電用途、製鉄、石油化学等の分野における水素の利活用を見据えた施策を提案した。水電解による水素製造では、非電力部門でのユースケース拡大・需要開拓などの政策支援・ルール形成等を提案した。ファイナンス面においては、現行制度で未対応の領域における支援を提案した。研究会には大学の助教、企業の主任クラスが参画している。(12月19日経産省公表資料より)

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/2050_carbon_neutral/001.html

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④ 【政策/国内】 経産省 2030年までに8トン以下小型トラックに対してFCV・EV等の使用割合を5%に設定 

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経産省は、12月22日に第10回荷主判断基準WGを開催し、改正省エネ法を踏まえた荷主制度の対応を議論した。非化石エネルギー自動車の使用割合として、2030年度における8トン以下の貨物トラックの非化石エネルギー自動車の使用割合を5%とする目標を掲げる。非化石エネルギー自動車とは、EV、FCV、PHEV、バイオ燃料・合成燃料を使用した車のことを指す。これに加え、もう一つの指針として充電インフラ等設置数を論点とし、2030年度における急速充電器の設置口数目標を立てる。また、水素の充てんインフラについては、FCVの普及状況等を踏まえ、23年度以降に目安を検討する方針。(12月22日 経産省HP)

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⑤ 【廃プラ由来水素/国内】岩谷産業、豊田通商、日揮HD 愛知県で廃プラ由来の水素製造 

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岩谷産業、豊田通商、日揮ホールディングスは、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造に関して、愛知県名古屋港近郊での協業を検討する基本合意書を締結。本事業は、昨年12月にNEDOの委託事業「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/水素製造・利活用ポテンシャル調査」に採択され、調査を進めていたもの。水素製造開始は2020年代中頃を目標に、水素製造能力は1.1万t/年(廃プラ回収量:8万t/年)、製造する水素は天然ガスからの水素製造と比較し、温室効果ガス排出量を85%削減するとしている。(12月12日 プレスリリースより)

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⑥ 【イエロー水素/国内】関西電力 原子力発電の電気を活用したCO2フリー水素製造の実証開始 

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関西電力および敦賀市は、国内初となる発電時にCO2を排出しない原子力エネルギーを活用したCO2フリーのクリーン水素製造の実証を開始した。本実証では、水素製造装置が設置されている敦賀市公設市場に関西電力の原子力発電所で発電した電気を供給し、水素製造から利用に至るまでの一連の流れを追跡(トラッキング)することにより、水素が原子力発電の電気によって製造されたことを特定する。実証期間は、2022年12月16日から2023年2月28日を予定している。(12月16日プレスリリースより)

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⑦ 【低炭素アンモニア/国内】 昭和電工 低炭素アンモニアを製造 CO2などの温室効果ガスを80%強削減 

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昭和電工は20日、川崎事業所で使用済みプラスチックを原料に製造しているアンモニアが、化石燃料を原料にしたアンモニアに比べ、製造過程で排出されるCO2などの温室効果ガスが80%強削減されていることを確認したと発表した。CO2排出量計算プロセスは第三者機関である一般社団法人日本LCA推進機構:LCAFによってISO基準に適合していることが認められたという。現在は使用済みプラスチック由来の低炭素水素と都市ガス由来の水素をそれぞれ50%の割合で使用しているが、将来的に化石燃料をまったく使わない低炭素アンモニアの製造を目指しているという。(12月22日 プレスリリースより)

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⑧ 【合成メタン/国内】 東京ガスと大阪ガス 革新的なメタネーション技術の社会実装に向け検討会を設置 

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東京ガスと大阪ガスは20日、NEDOのGI基金事業において、両社がそれぞれ開発に取り組む革新的メタネーション技術の社会実装に向け助言を得るため、共同で「革新的メタネーション技術社会実装検討委員会」(委員長:橘川教授)を設置し、第1回の会合を開催した。主な検討内容は①原材料調達・製造適地候補検討(国内外)②製造・供給シナリオ(1次案)策定③社会実装モデル・ロードマップ(1次案)策定。検討会からの助言を受け、より蓋然性の高い計画を策定し、社会実装につなげていく。検討会は半年に1回程度の頻度で開催される予定。(12月21日 プレスリリースより)

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⑨ 【水素バーナ/国内】大同特殊鋼 水素バーナの実用化に目途 

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大同特殊鋼は、水素を燃料とするラジアントチューブバーナを独自開発し、水素混焼および専焼テストに成功した。既存の汎用バーナの構造を活用し、1本あたりのバーナ容量も同一のため、既存炉にそのまま設置でき、最小限の改造で水素燃料へ対応可能。また、あらゆる水素混合割合に対応できる。今後2026年中期計画内を目途に販売リリースを目指しており、既存炉の燃料変更や、新設炉での水素混焼などを実現する。尚、2030年の切り替え完了を目標として、当社工場の熱処理炉へ本バーナの順次導入を検討中。さらに、2030年を目標に主力製品であるSTC炉の完全カーボンニュートラル化を目指して、開発を継続する。(12月14日 プレスリリースより)

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⑩ 【プロジェクト/国内】 福島県浪江町に水素充填研究設備「福島水素充填技術研究センター」が完成 

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NEDOが「超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業」において、「福島水素充填技術研究センター」が12月から運用を開始した。本センターは、隣接する水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造した水素を利用し、燃料電池を搭載した大型・商用モビリティ(HDV)への大流量水素充填(じゅうてん)技術や大流量水素計量技術に関する技術開発・検証が実施可能な研究施設となる。受入設備(トレーラー2台設置可能)、中圧圧縮機(4台)、高圧圧縮機(2台)、中圧蓄圧器(400L×9本)、高圧蓄圧器(300L×27本)、水素ディスペンサー(2基)、模擬容器(200L×10本)が設置され、水素充填試験・計量試験・技術開発に取り組む。(12月12日 プレスリリースより)

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⑪ 【カーボンニュートラル/国内】 石油連盟 ビジョンを改定 Scope1, 2に加えScope3の実質ゼロにチャレンジ 

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石油連盟は19日、「石油業界のカーボンニュートラルに向けたビジョン(目指す姿)」を改訂し、これまで2050年に事業活動に伴うCO2排出(Scope1, 2)の実質ゼロを目指すとしていたところ、SAF 、水素・アンモニア、合成燃料などの技術開発がスタートしたことを受け、供給する製品に伴うCO2排出(Scope3)の実質ゼロにもチャレンジすることとしたもの。「Scope3の実質ゼロは、極めて野心的でハードルの高い目標」と位置付けており、脱炭素技術の研究開発と社会実装に積極的に取組むことにより、社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献する、としている。(12月19日 石油連盟ウェブサイトより)

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⑫ 【政策/海外】 オランダ 7つの水素プロジェクトに約8億ユーロの財政支援 

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オランダ政府は21日、合計1,150MWの電解能力を持つ7つの水素プロジェクトの助成金申請を承認し、7億8350万ユーロ(8億3040万米ドル)の財政支援を共有すると発表した。この財政支援は、欧州共通の関心を持つ水素重要プロジェクト(IPCEIs)の第2ウェーブによるものであり、審査に合格したのは、Rotterdam Hydrogen Company BV (Shell), H2ermes BV, Air Liquide Industrie BV, HyCC / H2-Fifty BV, Ørsted Hydrogen Netherlands Holding BV, Engie Energie Nederland NVの各社。Hydrogen IPCEIsには4つのウェーブがあり、オランダで使える予算は合計16億ユーロ。(12月21日 一般報道より)

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⑬ 【政策/海外】 23年から国境炭素税(CBAM)導入 欧州連合で合意 

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欧州連合(EU)は、世界初の取り組みである国境炭素調整措置として、国境炭素税(CBAM)を導入することを合意した。事実上、環境規制の緩い国から輸入品に関税をかけることとなり、対象は鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電力とし、今後拡大を検討する考え。課税により、カーボンリケージを防ぐことが目的とし、EU域内外の負担を同水準に揃えて、環境対策を強化する。当計画は、2023年10月からEUに輸出する企業は、該当する製品の排出量を当局に報告する義務を負い。26~27年にはEUの排出量取引制度の炭素価格に基づき、排出量に相当するお金の支払いが始まる見通し。(12月13日 一般報道)

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⑭ 【政策/海外】 カリフォルニア州 2045年までのカーボンニュートラル達成のための計画を承認 

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カリフォルニア州大気資源員会(CARB)は15日、今年初めにギャビン・ニューサム州知事が署名した法案に続いて、2045年までにカーボンニュートラルを達成するための計画を承認した。具体的な計画としては、2045年までに石油の需要を94%削減し、化石燃料の使用量を現在の10分の1以下に削減することを目指しており、主にガスエンジン車からの移行が推進されている。理事会は、この計画によってスモッグの原因となる大気汚染を71%、温室効果ガス排出量を1990年比で85%削減し、1990年レベル以下にするとしている。(12月15日 プレスリリース、一般報道より)

https://ww2.arb.ca.gov/news/california-releases-final-2022-climate-scoping-plan-proposal

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⑮ 【グリーン水素製造/海外】 プラグパワー社と二コラ社 水素経済の前進に向け戦略提携 

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プラグパワー社とニコラ社は15日、水素経済の前進に焦点を当てた戦略提携を発表した。両社はグリーン水素の供給契約を締結し、プラグ社は2023年1月1日からニコラ社にグリーン水素を供給し、2026年末までに供給量を125トン/日まで増やす。ニコラ社は、アリゾナ州水素ハブ向けに、30トン/日の水素液化装置1基をプラグ社に発注している。プラグ社が設計・製造する液化システムは、ニコラ社のアリゾナ州水素ハブの第1フェーズに使用され、最大150トン/日の規模に拡大される予定。ニコラは2026年までに最大300トン/日の水素供給と最大60基の水素ディスペンサーを提供する計画。(12月15日 プレスリリースより)

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⑯ 【水素製造/海外】日本酸素HD インドにおける水素の長期供給受注 

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日本酸素ホールディングス(NSHD)の米国事業会社Mathesonは、インド政府系公社ヌマリガル製油所(NRL)から20年間の水素および副生蒸気の供給を受注した。Mathesonは、アッサム州ヌマリガルにあるNRLの製油所に隣接する132kNm3/h(285トン/日)のプラントから水素を供給する予定。このプラント建設にあたっては、プラント建設・エンジニアリング会社であるLarsen & Toubro(インド)とパートナーを組み、デンマークのTopsoeの改質技術を利用し、高効率の供給体制を確立する。本プラントから排出される水素および副生蒸気は、インド政府が進める北東部開発計画のうち、ヌマリガル製油所の拡張プロジェクト(NREP)で使用される。(12月13日 プレスリリースより)

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⑰ 【グリーンアンモニア/海外】IHI マレーシアにおいてグリーンアンモニア製造・販売事業の検討を開始 

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IHIは、マレーシア国営石油ガス会社ペトロナス社の子会社Gentari Hydrogen Sdn. Bhd.(GHSB社)とマレーシアにおいて再エネ由来のグリーンアンモニア製造・販売の事業性を検討・調査する覚書を締結。太陽光発電の適地であるマレーシア・ジョホール州を候補地としてグリーンアンモニアを製造し、発電・船舶用燃料供給を目的とした現地での利用および日本・アジア市場への輸出を行うアンモニア販売事業を検討する。IHIは主に技術的検討と日本での需要調査を担当し,GHSB社はマレーシアでの再エネ供給や各種設備の諸条件設定・需要調査を担当。2023年初頭まで事業性評価を行った後,2026年の商業プラント完成・運転開始を目指す。(12月15日 プレスリリースより)

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⑱ 【圧縮水素運搬船/海外】 豪州プロバリス 世界初圧縮水素運搬船の設計を米国海運局から承認 

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豪州プロバリス(Provaris Energy Ltd)が26,000㎥級の圧縮水素運搬船であるH2Neoの設計を見直し、米国海運局からFEED完了及び承認がされた。本承認により、具体的な見積フェーズへ移り、船舶ブローカーのクラークソンズと契約締結に取り組む。圧縮水素運搬船のH2 Neoは、最大2,000海里の運搬が可能であり、年間200,000トンの水素輸送を見込み、アジア諸国及び豪州内での輸出を計画する。2023年後半には当船の造船契約を締結し、2026年には大規模水素輸送を開始することを目標としている。(12月12日 プレスリリースより)

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⑲ 【サプライチェーン/海外】 韓国 サウジアラビアから世界初のブルーアンモニアの商用用途の輸出 

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25,000トンのブルーアンモニアの商用輸出が、サウジアラビアから20日間かつ7,500海里を経て韓国の蔚山(ウルサン)港で荷揚げされた。ブルーアンモニアの商業規模としては世界初となる。サウジアラムコの子会社であるSabicが化石ガス由来の水素から製造したもので、サウジアラビア・ジュベイルのアラムコ製油所で蒸気メタン改質(SMR)プロセス由来のCO2を回収・利用したものが主である。同契約に基づき、Sabicは年内に韓国に対して約2万5,000トンの出荷を行う予定。(12月18日 一般報道)

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⑳ 【製鉄/海外】三菱重工業、三菱商事など グリーンスチールプラントに関する覚書を締結 

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三菱重工業のグループ企業であるプライメタルズテクノロジーズ、三菱商事、フォーテスキュー、フェストアルピーネは、グリーンスチール生産で覚書を締結した。オーストリア、リンツにあるフェストアルピーネの敷地において、ネットゼロエミッション製鉄のための新しいプロセスを備えた工業規模のプロトタイププラントの設計およびエンジニアリングが目的。また、プラントの建設と運用についても調査する。プロトタイプ工場には、プライメタルズテクノロジーズが開発した新製鉄プロセス「HYFOR」を採用する。HYFORは、鉄鉱石選鉱時に発生する粉鉱石を、水素ベースで直接還元するもの。(12月19日 プレスリリースより)

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㉑ 【商用FCトラック/海外】 韓国現代自動車(ヒョンデ) 約1100台分の商用トラック向け燃料電池を欧州に輸出 

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韓国現代自動車グループ(ヒョンデ)の専用燃料電池システムブランドHTWO は、ドイツのエコトラックメーカーであるエンジニアズとパートナーシップを締結し、水素を燃料とする商用車の大量生産用の燃料電池システムの供給契約を交わした。欧州のごみ収集車市場のキープレーヤーであるエンジニアズとの協力を通じて、燃料電池システム事業をさらに加速させる。供給するシステムは、現行製品のネッソに搭載された90kW級であり、3年間で商用車約1100台分となる。2024年にテスト運行を経て、2025年に欧州都心で正式運用が開始される計画。(12月12日 プレスリリースより)

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 【用語解説】

カーボンリケージ:温室効果ガスの排出規制が厳しい国の企業が、規制の緩やかな国へ生産拠点や投資先を移転し、結果的に世界全体の排出量が増加する事態のこと。例えば、欧米ではここ数年、温室効果ガスの排出量は減少傾向にあるが、中国やインドなどの発展途上国では急激に増加している。途上国の排出量の増加は、一方では国内の成長によるところも大きい。しかし、先進国の企業がコスト削減や規制を回避するために海外に工場を設立し、自国以外での排出量を増やしていることも一因。その結果、環境汚染や気候変動を助長するというパラドックスが生じるとされている。