山梨県米倉山電力貯蔵技術研究サイト

10月24日(月)に、山梨県甲府市にある米倉山電力貯蔵技術研究サイトを見学させていただきました。本施設は、甲府盆地の南部に位置する米倉山に2014年に開設されたもので、米倉山太陽光発電所(10MW)に隣接し、総出力1.5MWの水電解水素製造装置を用いて再生可能エネルギーの電力と水からグリーン水素を製造する「P2G(パワー・ツー・ガス)システム」の実証設備などにより構成されています。

 2021年9月にグリーンイノベーション基金事業第1号案件として採択され、大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・技術開発を民間企業7社と開始し、現在では、P2Gシステムにより製造したグリーン水素を近傍の日立パワーデバイス、キッツ長坂工場、スーパーオギノなどに有償で提供しています。

また、国内屈指の歴史を持つ自動車レースである「スーパー耐久シリーズ」の2022年シリーズに参戦する、トヨタ自動車の水素エンジンカローラの燃料の一部として、P2Gシステムで製造した水素を提供した実績があります。今後は、大容量・モジュール化を進め、サントリー白州工場などへの供給を目指しています。

本年5月には岸田総理大臣が視察に訪れ、その後も山口環境大臣、萩生田経産大臣、菅元総理大臣が立て続けに視察に訪れたことからも、国内屈指の規模を持つ水電解水素製造プロジェクトとしての注目の高さが伺えます。 当日は、山梨県企業局電気課新エネルギーシステム室の宮崎和也室長(株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー取締役経営企画・管理部門長)から、カーボンニュートラル社会の実現に向けた「やまなしモデル」P2G事業への取り組みについて、丁寧なご説明を受けました。「やまなしモデル」P2Gシステムは、世界最高効率の電解質膜を用いた「固体高分子(PEM)形水電解装置」を採用しており、太陽光発電等の電力変動に水電解装置が高速に対応し、再生可能エネルギーの不安定さを解消できる特徴があります。晴天で増加した太陽光の発電量を吸収し、再生可能エネルギーの受入を一時的に止める出力抑制を回避することにも役立ち、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた扉を開くカギとして大きな期待が寄せられています。 今後は、JH2Aの事業化委員会で活動中の再エネ水電解SWGと「やまなしモデル」P2G事業との意見交換などを通じて、業界ワンボイスに繋がる水素業界内の連携を深めていきたいと思います。