■■ JH2A NEWS PICK-UP Vol.56 ■■ 2024/11/11

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① 【政策/国内】JOGMEC 国際エネルギー・フォーラム(IEF)と覚書を締結

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JOGMECと国際エネルギー・フォーラム(International Energy Forum、以下「IEF」)は、2024年11月5日、CCUSやクリーン水素に関する研究等における知見の深化や、国際社会とのネットワーク強化を主目的とする覚書(MOU)を締結した。JOGMECとIEFは、各国の事情を踏まえつつ、エネルギー安全保障と経済成長を両立する形での脱炭素化を実現するため、CCUSの社会実装や、脱炭素エネルギー分野の国際連携を促進することの重要性について共通の認識を持ち、意見交換を行ってきた。アラブ首長国連邦アブダビで開催のADIPEC 2024 Exhibition & Conferenceにて、CCUSやクリーン水素、炭素市場に関する意見交換の緊密化や知見の深化、セミナー等への相互の講師派遣等を内容とするMOUを締結した。 (11/6 プレスリリースより)

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② 【政策/国内】国交省 拠点整備へ検討着手

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国土交通省は、港湾において大規模な水素・アンモニア等を安全かつ効率的に受け入れるための施設配置や輸送体制等を検討する上で留意すべき点等を取りまとめることを目的に、第1回「港湾における水素等の受入環境整備に向けた検討会」を開催した。参加メンバーは、横浜大学、国土技術政策総合研究所といった有識者に加え、JH2A、CFAAといった業界団体、港湾管理者、オブザーバーとして経産省、資源エネルギー庁も参加。立ち上げの検討会では、港湾部の施設配置や輸送体制などについて具体化を進め、同日の会合では、水素などの受け入れに関する検討状況や環境整備のイメージなどを説明する。今年度3回程度の会合を予定し、いずれも非公開で行われる。(11/7 プレスリリース)

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③ 【e-メタン/政策】資源エネルギー庁・環境省 メタネーション推進官民協議会で、e―メタン等に関する規制・制度の検討状況等を報告

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資源エネルギー庁の「メタネーション推進官民協議会」第13回会合が7日に開かれ、エネ庁と環境省はe―methane(e―メタン)等に関する規制・制度の検討状況等を報告。e―メタンの大規模製造・輸入プロジェクトに取り組む大手ガス事業者らはその進捗を報告した。久米孝エネ庁電力・ガス事業部長はエネルギー基本計画改定について触れ「本当に大事なのは製造業において実現可能なトランジション(移行)をしていくこと」と述べ、e―メタンへの期待を示した。エネ庁は、グリーン・イノベーション基金の革新的e―メタン技術開発支援費を資材価格高騰等に対応し約300億円(約55億円増)に増額、施行された水素社会推進法にe―メタンを「日本のCO2(二酸化炭素)排出削減に寄与」と明記、「2030年度1%の導管注入目標」に向けた規制・制度(導入目標設定や費用回収制度)の方向性を説明。今年度創設の「排出削減が困難な産業のエネルギー・製造プロセス転換支援事業」で製造業の天然ガス・e―メタンへの燃料転換などの支援事業の公募についても説明を実施。環境省は、SHK(温室効果ガス排出算定・報告・公表)制度におけるe―メタンの算定ルールを24年度実績報告から適用するため、法令等の整備を進めていると紹介。

(一般報道より)

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④ 【原子力由来水素/国内】関西電力・岩谷産業  原発由来の水素 万博燃料電池船に供給

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関西電力株式会社は、2025年大阪・関西万博で運航される岩谷産業株式会社の水素燃料電池船「まほろば」の燃料として、嶺南地域の原子力発電所の電力で製造した水素を供給する計画を県などと協力して進めている。供給量は多くないが、陸路で輸送する際を除けば二酸化炭素(CO2)が発生しない。水素の製造は、県や、おおい町、県内企業が参加する一般社団法人「ふくい水素エネルギー協議会」が担う。同協議会は同町内で来春の稼働を目標に水素製造装置を整備しており、万博が始まれば、原発の電力を使った水の電気分解で水素を製造。会場に近い関電南港発電所内に岩谷産業が設置する水素ステーションまで貨物車で輸送し、まほろばに供給する。岩谷産業や同協議会によると、まほろばは150キロ・グラムの水素を積載し、バッテリーも使って約130キロ・メートル航行できるのに対し、同町の装置の製造能力は1日20キロ・グラムにとどまる。関電は今後、実際の供給量や期間などを岩谷産業と協議するという。(一般報道より)

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⑤ 【水素生成/国内】産総研 低消費電力で水素生成

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国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)ゼロエミッション国際共同研究センター人工光合成研究チーム三石雄悟主任研究員、佐山和弘首席研究員は、グリーン水素を安価に製造できる可能性を秘めた光触媒-電解ハイブリッドシステムの流通型装置を開発し、水分解の理論電解電圧(1.23 V)よりも小さい0.9 V以下の電解電圧で水素と酸素を分離製造できることを実証した。さらに、本装置に用いた酸化タングステン(WO3)系光触媒の性能が10000時間以上の光照射実験後にもほぼ維持されていることも確認した。今後は、光触媒の性能改善を目指し、長波長の光を有効利用できる光触媒反応の開発を進める。また、本手法の大型実証や詳細な水素製造コスト試算を行い、経済合理性のあるグリーン水素製造技術の実現に向けた取組を実施する。(11/6 プレスリリース)

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⑥ 【アンモニア/国内】IHI 再生可能エネルギーを使ったグリーンアンモニアの製造試験に成功

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IHIは、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を原料としてCO2フリーのアンモニアを製造する装置を開発した。この度、そうまIHIグリーンエネルギーセンター内の水素研究棟「そうまラボ」で小型スケールでの試験を実施し、目標とした効率でグリーンアンモニアを製造できることを確認した。現在、アンモニアは天然ガスを改質して製造した水素と空気中の窒素をもとに製造されており、その製造過程では天然ガス由来のCO2が排出されている。IHIでは、負荷変動のある再エネの電気を熱や水素に変換し、効率良くエネルギーを利用するPower-to-X技術の確立を進めている。これまでに再エネから変換した熱を使い、相馬市下水処理場の汚泥を乾燥し減容化・肥料化したり、水電解装置を用いて製造した水素とCO2から合成メタンを製造し地域コミュニティバスへ燃料を供給したりといった実証事業に取り組んできた。今後さらに試験を続け,製造プラントの運転条件の最適化や反応器データの取得などを行い、プロセス全体の検証を進めていき、グリーンアンモニア製造手法の一つとして、Power-to-Xを使った本技術も早期の大型化・商用化を目指し研究開発を加速していく。(11/8 プレスリリースより)

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⑦ 【水電解/国内】冨士ダイス  ニッケル電極開発 グリーン水素電力抑え製造

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冨士ダイスは、水素を製造する際に電圧を従来比20%削減するニッケル製の電極を開発した。電力の使用を抑えられ、また貴金属を使用していないために環境負荷が低いという。主力事業の超硬合金製造の粉末冶金技術などを応用した。再生可能エネルギー電力を使った水の電気分解によるグリーン水素の製造装置向けに、2027年までの商品化を目指す。冨士ダイスが開発した電極「PME」は従来のニッケル電極に比べて、低い電圧で同じ量の水素を発生できる。ニッケル中に触媒を混ぜ込んだ構造を採用し、表面積を大きくして性能を高めた。超硬合金の製造に求められる粉末冶金技術と超高圧の合成技術を触媒の開発に生かし、掛け合わせることで電極にした。触媒と電極化の関連で2件の特許を取得した。(一般報道より)

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⑧ 【水素混焼/国内】東北電力 新潟火力発電所で水素混焼率8%を達成

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東北電力は新潟火力発電所5号系列5-1号(新潟県新潟市、5.45万kW)において、水素を既存の燃料(LNG)に混合したうえで、ガスタービンで燃焼し、発電を行う水素混焼の試験を実施し、当社設備で最大となる混焼率8%程度(体積比)の混焼を達成した。同発電所では、2023年10月に、事業用ガスコンバインドサイクル火力発電所としては国内初となる水素混焼試験を実施し、水素混焼率1%程度(体積比)を達成している。その後、前回試験を上回る混焼率を検証するため、既存設備で試験可能な最大量を試算し、今回8%程度(体積比)の混焼試験を実施することとしたものである。(10/30 プレスリリース)

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⑨ 【水素給湯器/国内】ノーリツ 神戸高専で水素100%燃焼給湯器の実証実験を開始

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神戸市、株式会社ノーリツ、神戸市公立大学法人は、ノーリツが開発した水素100%を燃料とする家庭用給湯器(水素給湯器)を、神戸市立工業高等専門学校の敷地内に設置し、2024年11月15日より運転実証を開始する。3者は、カーボンニュートラルの実現と水素エネルギーの社会実装に向けて、2024年6月25日に事業連携協定を締結しており、本実証は本協定に定める連携事項の1つである「水素を活用した製品の早期社会実装に向けた実証実験」の取り組みとなる。また、本協定では「神戸高専の学生を対象とした水素分野の人材育成」も連携事項としており、次世代を担う水素分野の人材育成を目的に、2024年度後半から2025年度にかけて、神戸高専生に対する神戸市とノーリツによる特別講義や、工場見学(生産工場および研究開発棟)の実施、技術者との座談会等を計画している。(11/8 プレスリリースより)

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⑩ 【燃料電池/国内】富士電機他 大阪・関西万博において、世界初となる水素カートリッジを使用した自動販売機を設置

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富士電機とコカ・コーラボトラーズジャパンは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、世界初となる水素カートリッジを使用した自動販売機を設置する。天候や設置場所の影響を受けず、稼働時にCO2を排出しない次世代型の自動販売機として、国内外の先端技術が集結し、「未来社会の実験場」となる大阪・関西万博の会場内に本自動販売機を1台設置し、多くの来場者に「未来の自動販売機」を体験いただく機会を提供する。本自動販売機は、自動販売機本体と発電機から構成される。発電機に水素カートリッジを装填し、水素と空気中の酸素を化学反応させることで電気を生成、生成された電気はバッテリーに蓄電され、そこから送電されることで、自動販売機が稼働する。(10/30 プレスリリース)

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⑪ 【試験評価/国内】NIMS  低温・高圧水素環境下での材料特性評価設備が完成

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NIMSは、低温の水素環境下における材料の機械的特性を評価する試験設備を設置し、本格的な稼働に向けて運転を開始した。本設備は、従来に比べて低温の水素環境下での材料試験領域を世界初の温度・圧力領域に拡大した点に特徴がある。本設備を用いて、液化水素を含む低温水素ガス環境下での材料特性を明らかすることで、水素サプライチェーンの構築において安価な材料の利用が可能となり、機器の設備コストや運転コスト、さらには水素供給コストが低減されることが期待される。今回完成した設備は、幅広い材料において、液化水素を含む低温水素環境下(温度:20K~200K、圧力:常圧~10MPa)での機械的特性や水素適性などの材料特性について、正確かつ信頼性の高いデータを取得することできる。2025年度末までに、この設備が正確で信頼できる材料特性データを安定的かつ継続的に提供できることを検証し、2026年度からは、水素サプライチェーンに使用される材料の機械的特性データを本格的に取得して提供する予定。(10/28 プレスリリースより)

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⑫ 【グリーンローン/国内】川崎重工業 SBI新生銀行とマスターフレームワークを活用した融資契約を締結

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川崎重工は、株式会社SBI新生銀行とサステナブルファイナンスによる融資契約を締結した。今回の契約は、2023年11月に公表した世界初の資金調達の枠組み「マスターフレームワーク」を活用した初めてのグリーンローンでの融資契約。同フレームワークを活用したサステナブルファイナンスとしては、本年1月に実行をしたサステナビリティ・リンク・ローン、トランジション・ローンと本年2月に発行したトランジション・ボンドに続く4例目。マスターフレームワークは、同社が「グループビジョン2030」で掲げる3つの注力フィールドである「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」を支えるサステナブルファイナンスの活用を促進するために策定した、あらゆるサステナブルファイナンスを網羅する資金調達の枠組みだ。今回調達予定のグリーンローンとは、環境改善効果のある事業に要する資金を調達する際に受ける融資で、本融資で調達された資金は、マスターフレームワークに基づいた、適格クライテリア「水素のクリーンな輸送・貯蔵」に関連する事業・プロジェクトに対する新規支出および既存支出のリファイナンスに充当される。(10/31プレスリリースより)

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⑬ 【クリーンガス証書/国内】横浜市・東京ガス 日本初、e-メタン由来のクリーンガス証書で環境価値を移転します

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横浜市と東京ガス株式会社は、このたび、クリーンガス証書制度に基づき、「東京ガス横浜テクノステーション メタネーション実証設備」(以下「メタネーション実証設備」)で製造したe-methane(以下「e-メタン」)を対象に発行されたクリーンガス証書の環境価値の移転に合意し、山下公園通りに設置されているガス灯に活用する。2024年4月から運用開始された本制度において、e-メタン由来のクリーンガス証書の環境価値移転を行うのは日本初。 メタネーション実証設備で製造されるe-メタンについて、2024年4月に運用開始されたクリーンガス証書制度に基づく認証を受け、クリーンガス証書を取得した。本制度は都市ガスのカーボンニュートラル化の手法のひとつとして公的制度への反映を目指す。2024年10月31日の“ガスの記念日”から一定期間、取得したクリーンガス証書の環境価値を山下公園通りのガス灯に活用することで、ガス灯で使用する燃料をクリーンガス化する。(10/28プレスリリースより)

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⑭ 【政策/海外】欧州委員会 低炭素水素の定義に対する要請

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17の業界団体からなるグループが、欧州委員会に対し、低炭素水素の定義案を調整するよう要請した。低炭素水素とその誘導体、非生物由来の再生可能燃料の定義を満たさないクリーンな水素を定義する委任法は、化石燃料に相当するものと比較して、ライフサイクル排出量を70%削減することを要求しているが、 その中で化石燃料原料や異なる加盟国間の系統電力からの排出を含む、余分な需要に対応できる燃料や電力に対する温室効果ガス排出量の既定値も設定されている。しかし、これらは保守的であり、低排出ガス源から原料を調達しているかどうかは認識できないと指摘した。(一般報道より)

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⑮ 【政策/海外】上海市 2030年までに100万トンの水素ベースの船舶用燃料を港で供給する目標を設定

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上海市は、2030年までに港にグリーン船舶用燃料の「充填センター」を建設し、年間100万トンのグリーンメタノールとグリーンアンモニアを船舶用に供給する目標を掲げた。30万トンのグリーン水素ベースの燃料を地元で生産し、さらに100万トンを外部から確保する(130万トンは充填センターの目標容量より高い)ロードマップも示した。グリーン水素と合成してメタノールを作るための二酸化炭素は、ゴミや農林廃棄物を処理する工場から調達する。(一般報道より)

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⑯ 【政策/海外】欧州委員会 米国が遅れをとっても、欧州はグリーン水素をリードし続ける

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欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ブリュッセルで開催された再生可能水素サミットでの事前収録済みスピーチで、米国が遅れをとるとしても、欧州はグリーン水素セクターを拡大するための政策を加速させることを約束した。加えて、EU全域で11の大規模な再生可能水素プロジェクトがすでに最終投資決定(FID)に達し、建設を開始していることを強調。FID達成に向けたプロジェクトを支援するため、水素1キログラム当たりの固定支払額を提供する欧州水素銀行の第2ラウンドが、12月に12億ユーロ(13億ドル)の予算で開催されることについても言及した。(一般報道より)

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⑰ 【ブルー水素/海外】  米企業が廃棄物から安価な「カーボンネガティブ」水素製造テストを完了

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米国企業は、固形廃棄物から「カーボンネガティブ」な水素を製造できることを原理的に実証することに成功した。これは同社が「ガソリン実証では、カリフォルニアに拠点を置く Ways2H が専用反応炉で 1 トンの固形廃棄物から 110kg の水素を製造し、その過程で発生した二酸化炭素を捕集して隔離した。このテストは、プラスチックや生物由来の廃棄物を水素と二酸化炭素に処理する Ways2H の実証用熱化学変換反応炉で行われた。同社の技術を使った大規模プロジェクトでは水素を1kgあたり3~4ドルで販売できる一方、小規模な施設からモビリティ用途の小売市場に水素を6~14ドルで販売できると予想していると語った。Ways2H が特許申請しているこの技術のセールスポイントは、炭素の回収と隔離機能が廃棄物から水素へのコンバーターに統合されており、水素と二酸化炭素の流れを分離できることだ。同社は現在、商業規模の工場に規模を拡大する計画で、来年末には大規模な拡張のための資金調達を開始する予定だ。(一般報道より)

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⑱ 【合成燃料/海外】中国の石炭会社、中国北部で6億ドル規模のグリーン水素・メタノール工場の建設を開始

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国営企業である中国石炭グループの現地子会社が、中国北部の内モンゴル自治区で6億ドル規模のグリーン水素・メタノールプロジェクトの建設を開始した。中国石炭オルドスは、オルドス市近郊の宇新旗にあるトゥケ工業団地に建設中のこの工場に43億1000万元(6億520万ドル)を投資している。このプロジェクトでは、625MWの風力と太陽光発電で電解装置に電力を供給し、グリーン水素を生産する。この水素は、地元の産業排出物から回収されたCO2と混合され、年間10万トンのグリーンメタノールを生産する。中国石炭集団はまたモンゴル政府から、グリーン水素と牛糞から年間20万トンのグリーンメタノールを生産するプロジェクトを同地域の北東部に建設する承認を受けた。また、9月末には、別の国営企業である中国広核集団が、内モンゴル東部にグリーンメタノール施設を建設することを承認した。この施設では、グリーン水素とバイオマスを組み合わせて年間40万トンを生産する予定だ。また、中国東部の江西省でも、年間25万トンのグリーンメタノールを生産する同様のプロジェクトが予定されている。(一般報道より)

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⑲ 【水素発電/海外】オーストラリア政府 同国初の100%水素発電所に環境承認を与える

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南オーストラリア州のワイアラ水素発電所は、連邦政府から環境承認を取得し、建設開始の許可を得た。ワイアラ水素発電所は、250MWの電解槽と100トンの水素貯蔵容量があり、水素は水素専焼200MWのタービンに供給される。南オーストラリア州の地方政府は、複合施設への補助金としてすでに5億9,300万豪ドル(3億8,900万ドル)を約束している。ワイアラ水素発電所は、現在石炭火力およびガス火力施設が果たしている役割である断続的な再生可能エネルギーのグリッドバックアップなど、電力を強化する。また、南オーストラリア州政府は、ワイアラ発電所で生産された水素の一部が第三者のオフテイカーにも販売される可能性があると予想しており、鉄鋼メーカーのGFGアライアンスと覚書を締結し、近くのワイアラ製鉄所への水素供給を模索する覚書に署名をした。(一般報道より)

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⑳ 【FCV/海外】 ヒュンダイ 来年から量産予定の新型水素自動車を発表

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韓国自動車メーカー、ヒュンダイは、来年半ばから量産する予定の新型水素自動車を発表した。イニシウム水素燃料電池電気自動車(FCEV)の目標走行距離は650km(404マイル)以上で、同社によれば、これは「最大の利点」の1つだが、公式には多くのバッテリー電気自動車の走行距離はさらに長い。モデルは、2018年に初めて発売されて以来大きなアップデートがなく、最近は売り上げが振るわないネクソの後継車になると報じている。(一般報道より)

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㉑ 【CCS/海外】英国 クリーン水素とCCSプロジェクトに数十億ドルを予算化 

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英国の労働党政権は、夏に政権を握って以来初の予算を発表した。クリーン水素や炭素回収・貯留(CCS)インフラへの補助金に数十億ドルが割り当てられている。この予算では、エネルギー安全保障・ネットゼロ省が2024~25年度にCCSと水素に最大14億ポンド(18億ドル)を費やすことが具体的に認められている。これは同省の同年度の予算の約10%に相当。水素とCCSに利用できる資金は翌年には37億ポンドに増額される予定で、これは同省の2025~26年度予算の4分の1以上に相当する。英国はまた、開発業者であるEETおよびBPと、それぞれの大規模ブルー水素開発に対する最終的な補助金契約を締結するための交渉を行っている。今月初め、政府はこれらのブルー水素プロジェクトを支える2つのCCSクラスターに217億ポンドの資金を提供すると発表した。しかし、業界関係者は、英国の補助金制度は欧州で最も寛大なものの1つであるものの、交渉が始まって以来コストが増加しているため、資金提供が約束されている13のプロジェクトすべてが最終的な投資決定に至るわけではないと示唆している。(一般報道より)